ブログ説明

株式会社フルハシ環境総合研究所による環境問題、環境経営に関する提言・オピニオン発信を目的としたサイトです。

2015年5月28日木曜日

44.高く評価されるCSR報告書とは(1)

GMMは地球環境問題を前向きに解決し、「緑豊かな」地球を目指すという意
 
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 2015
58日発行 株式会社フルハシ環境総合研究所
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   GMM [Green Mail Magazine] No.258

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【本日の特集】
 高く評価されるCSR報告書とは(1)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
高く評価されるCSR報告書は、CSR報告の基本とトレンドをおさえたものです。
企業によって想定する読者やステークホルダー、報告したい内容は異なります
が、ここでは一般に高く評価される報告書をつくるにはどのような点に注力す
ればよいかをご紹介します。

【CSR報告の基本とは?】

最も重要なことは、理念や方針に基づいたESG(環境・社会・ガバナンス)活
動の目標の設定、そして実績をふまえて次年度の具体的なアクションを起こす
仕組みが動いていることを報告することです。長期的な目標設定とそれに向け
たPDCA(※1)を報告することで、その企業が持続的に活動の改善に取り組ん
でいることが読者に伝わります。これは基本的なことですが、企業が実際に活
動を行っていないと書けない部分でもあり、実際には発行年度の目標と実績の
単なる報告にとどまる企業が多く見受けられます。ほかに基本事項としておさ
えておきたい点としては、報告対象範囲や参照ガイドラインを明確にすること、
トップメッセージにおいて企業の代表者がCSRの所信表明をしていること
(トップコミットメント)などが挙げられます。

【CSR報告の近年のトレンドは?】

①サプライチェーンを含めた報告
  自社グループ単独ではなくサプライチェーン(※2)を含めた報告は、先進
  的な企業では定着しつつあります。ただし原料調達まで言及している企業は
  まだ数少ないです。

②重要課題の特定
 CSR報告書の代表的なガイドラインであるGRIガイドラインが2013年に改訂さ
  れました。従来は全ての項目を網羅することに重きが置かれていましたが、
  改訂後は企業にとって重要な課題(マテリアリティ)に焦点を当てた報告が
  推奨されています。重要課題を特定するにあたり、ステークホルダーの意見
  を取り入れると、公平性が保たれるでしょう。

③カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(CDP)
 CDPは英国の国際NGOの取り組みで、総運用資金92兆米ドル(767投資機関)
 (※3)にのぼる全世界の投資家が参加するプロジェクトです。CDPから企業
  に対して、気候変動や水などの資源問題への対策に関する調査票が送付され、
  回答の内容が採点・公表されます。近年、CDPのデータがDJSI(※4)にも活
  用されるなどCDPの存在感が増しており、CDPに参加していることを記載する
  報告書が多く見られます。

次回は、高く評価される報告書をつくるために参考となる報告書をご紹介します。


※1 PDCA
 Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)の 4 段階を繰り
 返すことによって、業務を継続的に改善すること。
※2 サプライチェーン
 原料の段階から製品やサービスが消費者の手に届くまでの全プロセスの繋がり。
※3 2014年10月15日現在
※4 DJSI
 ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス。米国ダウ・ジョーンズ
 社とスイスのSAM(Sustainable Asset Management)が選んだサステナビリティ
 株式指標。

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【発行】株式会社フルハシ環境総合研究所 

2015年5月26日火曜日

43.CSR報告書を作成するために経営層を説得する方法(2) 

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51日発行 株式会社フルハシ環境総合研究所
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   GMM [Green Mail Magazine] No.257

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【本日の特集】
 CSR報告書を作成するために経営層を説得する方法(2)     
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【環境格付融資で得られるものとは?】

環境省の利子補給事業では、一定期間(3~5年)に二酸化炭素排出量または原
単位を一定量(3~5%)削減するという条件付きで、地球温暖化対策資金に係る
貸出金利が最大1%利子補給されます。この利子補給事業の評価項目は、環境報
告ガイドライン(2012版、環境省)と相関していますので、同ガイドラインに
沿って環境報告を行っていれば対応することが可能です。

環境格付融資で得られるものは、実は融資のみではありません。
例えば、株式会社十六銀行は取引先企業との深い対話を通じて、融資だけでな
く環境ソリューションにもつながるような評価をしています。環境格付融資を
受ける企業(多くは中小企業)は、実態把握に基づく「気づき」を得て、環境
経営を改善していくことが可能なのです。なお、当社の親会社であるフルハシ
EPO株式会社は、2011年に環境格付評価で最高位「ランクS」を取得しました。
その他の例として、株式会社滋賀銀行は、環境格付融資におけるヒアリングを
通じて、顧客の関心やニーズをキャッチし、ビジネスマッチングや環境関連
事業に係る提案や情報提供を行っています。

【経営層には事実をベースに会社の利益に繋がるように説得することが大切!】

以上のように、環境格付融資に積極的に取り組む金融機関は、環境格付融資の
認知度の低さや行内推進力(意欲や体制)の不足等の課題を抱えつつも、地域
の特色を取り込み、環境ソリューションやビジネスの機会を提供するなど、創
意工夫により取り組みを深化させています。環境格付融資を受けるには、冊子
のような正式なCSR・環境報告書を発行する必要はありませんが、必要最低限の
環境報告は抑えておく必要があります。まずは環境報告が可能な状態を整えて
融資を受ける。そして、金融機関とのコミュニケーションを通じて環境経営を
改善していく。決して簡単な道のりではありませんが、このようなメリットも
あることを経営層に進言してはいかがでしょう。

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【発行】株式会社フルハシ環境総合研究所 

2015年5月21日木曜日

42.CSR報告書を作成するために経営層を説得する方法(1)


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 2015
424日発行 株式会社フルハシ環境総合研究所
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   GMM [Green Mail Magazine] No.256


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【本日の特集】
 CSR報告書を作成するために経営層を説得する方法(1)      
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環境報告書やCSR報告書の発行を検討している企業のご担当者から「報告書を
発行している(したい)が、経営層から充分な理解を得られない」という質問
が多く寄せられます。
経営層を説得するための一例として「環境格付け融資」をご説明します。

【海外では非財務情報開示の義務化が進められている】
2014年9月、欧州理事会で「非財務情報と多様性に関する情報の開示指令」が
承認されるなど、海外では非財務情報開示の義務化が進められています。
一方、日本では非財務情報の開示は企業の自主性に委ねられているため、企業
が報告書を発行する目的を自ら設定しなければなりません。
「報告書を発行している(したい)が、経営層から充分な理解を得られない」
という環境・CSR担当者からの相談をよく受けます。「なぜ報告が必要なのか」
という問い(目的)に対して、「社会的説明責任を果たすため」や、「社会的
評価が低下することへのリスクヘッジ」といった漠然とした回答では、経営層
を納得させることは難しいのです。

【環境格付融資とは?】
平成16年、環境格付融資は日本政策投資銀行により世界で初めて実施されまし
た。また環境省も、環境に配慮した金融機関の取り組みを促進するために、
平成19年度に環境格付融資に係る利子補給金交付事業を開始しました。それ以
来、環境格付融資は地方銀行や都市銀行にも広がりをみせています。
環境格付融資を取り扱う金融機関は、平成21年には7社であったのが、
平成25年度には累積で50社にまで増加し、平成20年度から平成24年度にかけて
の環境格付融資金額は、累計で1兆5,382億円、融資実行件数は累計2,741件に
まで達しています(※)。

次回は、環境格付融資で得られるもの、経営層への報告書作成の説得の仕方に
ついてご説明します。

参考資料
(※) 平成25年度環境格付融資に関する課題等調査業務(環境省)


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【発行】株式会社フルハシ環境総合研究所