ブログ説明

株式会社フルハシ環境総合研究所による環境問題、環境経営に関する提言・オピニオン発信を目的としたサイトです。

2014年6月27日金曜日

7.グリーンメールマガジンのご紹介「ものづくりとエコデザイン」

グリーンメールマガジン(GMM)は、当社が発行する環境情報マガジンです。
地球環境問題を前向きに解決し、「緑豊かな」地球を目指すという意味を込めて、
当社とご縁のあります皆様方に、毎週金曜日にお届けしています。
GMMでは、イベント・セミナー情報のほかに、毎月環境に関する特集を組み、
4回にわけて配信しています。
以下に、2014年5月の特集記事「ものづくりとエコデザイン」の連載4回分を
ご紹介します。
▼メールマガジンのお申し込み、ご意見、ご質問、お問い合わせは、
ホームページ(http://www.fuluhashi.jp/)右上の
「ご相談・お問い合わせ」よりお願いします。
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★グリーンメールマガジン No.228★ 「ものづくりとエコデザイン(1)」
                     2014年5月02日発行 株式会社フルハシ環境総合研究所
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         GMM [Green Mail Magazine] No.228
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【本日の特集】
1.「ものづくりとエコデザイン(1)」
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【エコデザイン プロローグ】
学生時代だった1960年代末から1970年代初頭のころ、私は下宿の仲間とよく
マージャンをした。蒸し暑い部屋の中でコカコーラを飲みながら、ゲームに熱
中したものである。
あの頃、コーラはガラスビンに入っていた。レギュラーサイズだけでなく大型
容器もガラス製だった。傷が入っても割れないようにラミネートがしてあった
記憶がある。割安だった770ミリリットル容器入りを買って下宿に持ち帰り、
ワイワイ言いながら仲間で飲んだ。貧乏学生に冷蔵庫などはない時代である。
冷えたコーラは飲み干し、リターナブルの容器はお店に返しにいった。何本も
空ビンがあると、一人で持てないほど重かった。それが資源を大切にし、コス
トも抑えられる方法と信じていた。
やがて就職し、製品設計に携わるようになって、私は環境適合設計(エコデザ
イン)を知った。資源の効率を上げ、使用するエネルギーを抑制し、ライフサ
イクルでの環境負荷を低減しなければならない時代だという。コカコーラの容
器はいつの間にかPET樹脂に変わっていた。PETの方が、環境負荷が少ないとい
う。あの頃、使い捨てでなく(もちろんPET樹脂もリサイクルはされるが)リ
ターナブルの容器の方が絶対環境に優しいと信じていた私は、何だったのだろ
う。
調べてみると、輸送時に排出されるCO2やNOxの量は、重いリターナブルビンの
方が、使い捨て容器よりも多い。そのため、一般にリターナブルビンの方が環
境負荷は小さいが、輸送距離が長い場合には両者の差は小さなものとなる。ま
た、リターナブルビンを使ったとしても、返却する消費者の数が少なければ、
環境負荷は大きくなってしまうという調査結果が出たという。これが一般的に
LCA(ライフサイクルアセスメント)の発端とされる調査であるが、コカコー
ラが調査を実施した1969年当時は、まだLCAとは呼ばれてはいない。資源の有
効活用、エネルギーの大切さ、環境負荷項目の種類、地球温暖化、時代により
関心の高い項目も変遷し、常識として思い込んでいる環境活動も変化する。こ
のシリーズではエコデザインと算出手法について、自分なりの意見を加えて記
してみたい。次回はLCAについて掘り下げたい。
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★グリーンメールマガジン No.229★ 「ものづくりとエコデザイン(2)」
                      2014年5月9日発行 株式会社フルハシ環境総合研究所
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         GMM [Green Mail Magazine] No.229
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【本日の特集】
1.「ものづくりとエコデザイン(2)」
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【LCAとは】
ライフサイクルアセスメント(LCA)は、環境配慮を定量的に評価する方法の
一つである。生産(製品)をより環境負荷の少ない方向へ移行するために実施
し、資源の採取から製造、使用、廃棄時までのライフサイクル全体を評価す
る。評価する項目は地球温暖化やオゾン層の破壊、酸性化や資源の消費などで
ある。その手順を説明する。
1)目標と対象範囲の明確化
まず目標や目的を明確にする。そしてそれに基づいて製品、ライフサイクルの
範囲や評価項目を十分に検討して絞り込み、システム境界(バウンダリー)※
を明確にする。
※システム境界(バウンダリー):測定する工程の範囲
2)インベントリ分析 
決定された目的や製品とライフサイクルに基づき、各工程の資源消費量や大
気、水質や土壌への環境排出物質を、項目毎に計算する。計算精度は用いる
データ類の信頼性に影響されるため、用いたデータの根拠、出典などの明示
が必要である。
3)インパクト評価
インベントリ分析の結果を使って環境影響の重要性を評価する。インベントリ
データを特定の環境影響と関連付けて各影響領域毎に割り振り、特性化係数を
用いて共通単位に換算し集計する。さらに複数の影響領域で特性化した結果に
統合化係数を用い、一つの指標に統合化する。
4)結果の解釈
インベントリ分析やインパクト評価の結果を単独または総合して評価、解釈す
る。このような段階を踏んで環境影響を評価するが、その支援のためのソフト
ウエアが複数販売されている。
統合化の手法はいくつかあり、主観的な要素が入るため算出方法やLCAの目的
などを踏まえ十分な考慮が必要である。高性能なPCが普及し、簡単に算出でき
る時代になったとはいえ、データは採取しなければならない。以前、ニュー
ジーランドでバウンダリー犬の像というのを見たことがある。開拓時代に放牧
した牛や羊たちを守り、夜になると人間に代わり牧畜を集め畜舎に導く優秀な
犬をたたえる像だった。LCAにもシステム境界(バウンダリー)内のデータを
集めてくれるPETがいれば、LCAはもっともっと普及するだろう。
【LCAの課題】
LCAの課題として、評価比較問題がある。例えば、数トンの排出されたCO2と数
キロの有害物質のリリースはどちらがより有害かという判断の時には、どうし
ても評価する人の価値観及び、解釈度が反映され、客観性を保つのが難しい。
リサイクルのLCAは、特に難しい。計算する前にいろいろな前提条件を決めな
ければならないが、その前提条件はリサイクルの方式や設備、技術の革新や交
通システムの変化、その他の関連する状況によって変わってくる。
客観的な基準なしでは総合的に環境に良いのか悪いのか誰もが納得する判断が
できないから、 LCAでより環境に優しい製品作りをする。しかし上記のように
比較する場合の比率などに問題もあり、他社競合商品との比較評価、ましてや
公表は実質的に困難である。設計時に自社の従来商品と比較して、より良い材
料や製法を決定するための、部分的な使用に留まることも多い。次回はMFCAに
ついて掘り下げたい。
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★グリーンメールマガジン No.230★ 「ものづくりとエコデザイン(3)」
                    2014年5月16日発行 株式会社フルハシ環境総合研究所
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         GMM [Green Mail Magazine] No.230
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【本日の特集】
1.ものづくりとエコデザイン(3)
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【MFCAとは】
経営者が意思決定に用いるMFCA(Material Flow Cost Accounting)手法は、
環境と経済を両立させる手法として注目される。MFCAでは原料や資材などマテ
リアルのフローとストックを物量と金額の両面から測定し、マテリアルコスト
(材料費)、エネルギーコスト、システムコスト(加工費)、配送・廃棄物処
理コストに分類し管理する。
製造の各段階で投入する「マテリアル」と発生する不良品、廃棄物、排出物を
物量ベースで把握し、それを金額換算することでマテリアルロス(不良品や廃
棄物、排出物)の経済的価値(ロスコスト)を明らかにする。このロスコスト
には原材料費だけでなく、加工費、廃棄物処理費、エネルギー費なども配分さ
れ、削減施策を総合的に意思決定できる手法であるが、コスト表を従来の配分
と異なる算出で作らなければならない。ロスコストに、不良品や廃材に使用し
た工賃を含んで算出すると、工程別のロスの種類や比率がわかる。すると改善
点の気づきが可能となる。
このように書くと従来の会計手法と配分だけを変えただけのように受け取られ
がちだが、私が経済産業省の委託事業で診断員として指導した企業のMFCA分析
と改善では、生産数量が大きかったこともあり、一個当たりは小さな材料の削
減が全体では大きな効果金額を生み、賞を受けることができた。モノの見方を
変えることが如何に大切かを立証した。
MFCAにまだ取り組んでいない企業は「もったいない」精神とともに、従来の配
分から変えた新たな取り組みを試みてほしい。日本人には昔から「太陽と水と
空気と安全はただのモノ」という観念がある。今の時代、この観念は徐々に変
化しており(特に「安全」には)、この常識を維持するためのコストも、ロス
コストに含めなければならない時代である。その観点から次回はBCPについて
掘り下げたい。
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★グリーンメールマガジン No.231★ 「ものづくりとエコデザイン(4)」
  2014年5月23日発行 株式会社フルハシ環境総合研究所
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         GMM [Green Mail Magazine] No.231
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【本日の特集】
1.ものづくりとエコデザイン(4)
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【BCP】
事業継続計画(BCP)を実施していると、万が一の場合に、休業や廃業の危機
を回避することができコストダウンにつながる。このことは、究極のサステイ
ナブル(デザイン)となる。エコデザイン、サステイナブルデザインの方向性
についてはまたの機会に譲ることとして、BCPについてである。
家もモノも、命も継続させるためには、何が必要か。発生する事象により異な
るが、備えとして一般的には地震・津波・火災・水害・病疫・金融危機・不祥
事・テロリズム etc.多くある。「備えあれば憂いなし」とはいうものの、多
くの人はそれらの事象に直面することは少なく、訓練もままならない。備える
にもコストがかかる。しかし万が一戦争に直面した時に備えて、国は軍備を整
え軍隊は訓練をする。これが戦争の抑止にもつながるという。戦争の例は適切
でないかもしれないが、平和な時こそ備えたい。はたして事態に遭遇した際
に、身体が動くか、思考が停止してしまわないか。私には過去にボヤ程度の火
事に遭遇した際、消火器のレバーを握っても握っても、消火剤の放射ができな
かった苦い経験がある。あわてふためいて、ふと気付くと、安全ピンを抜かず
にレバーを引いていた。
1980年代にISO9000が普及し始めたころ、我々は方針の大切さ、教育訓練やマ
ニュアルの重要性、PDCAとスパイラルアップを改めて学んだ。BCPではなくBCM
(P:計画、M:マネジメント)も同じである。マネジメントシステムとして構
築し、スパイラルアップに努めよう。私自身は、まず第一歩として、シミュ
レーションで良いから切迫感のある疑似体験が重要と認識している。今回のシ
リーズ「ものづくりとエコデザイン」はこれで終了としたい。
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特集記事は以上です。最後までお読みいただき有難うございました。
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