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株式会社フルハシ環境総合研究所による環境問題、環境経営に関する提言・オピニオン発信を目的としたサイトです。

2015年3月4日水曜日

37.どうなる日本の農業-「危機」を煽るのではなく「魅力」で解決するための一考察-(2)

GMMは地球環境問題を前向きに解決し、「緑豊かな」地球を目指すという意
 味を込めて、「グリーンメールマガジン」と名付け、皆様にお届けする環境
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 2015年2月26日発行 株式会社フルハシ環境総合研究所
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        GMM [Green Mail Magazine] No.269
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【本日の特集】
1.どうなる日本の農業
-「危機」を煽るのではなく「魅力」で解決するための一考察-(2)       
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【私たちの農業への関わり】
私たちの親会社(フルハシEPO株式会社)は、木質バイオマスの利用を通して、
林業、木質リサイクル、木質バイオマス発電まで植林からバイオマスエネルギー
に携わる企業ですが、その一方で、環境汚染や化学肥料、化学農薬あるいは放
射能汚染を危惧せず安心・安全な食を自ら求めたい信念から、生物多様性にも
繋がる有機無農薬栽培農業「オレンジ・サン・プロジェクト(OSP)」に取
組んでいます。2007年から野菜やお米の生産にチャレンジし、昨年から愛知県
知多半島で耕作放棄されていた田んぼを開墾して農業を行っています。現在の
農地は5反(5,000m2)です。周りのみなさまに教わりながら、実際に手がけて
みると、周辺のご高齢の農家の方々から声をかけられることも珍しくないよう
です。そう遠くない近い将来には彼らがあきらめざるをえない農地も委託を受
け、数ヘクタールの規模で農業生産を行っていくことになりそうです。私たち
フルハシ環境総研スタッフもですが、社員やその家族、そして地域住民のみな
さんにも田植え祭りや収穫祭(稲刈り)に参加して、植物や土、虫たちなど自
然にふれあう機会も作りつつ、食糧自給率の向上につながり、「食の安全保障」
が高まるように、私たちができる可能性を探究しています。
【地方に集う若者たち】
ここからは、前号で前置きした話題についてお話しします。
愛知県犬山市に「犬山農芸」という農業の職業訓練校があります。理事を務め
るのは佐藤練さん。彼との出会いは2009年アースデイ愛知というイベントの実
行委員会でした。名古屋市の栄という繁華街の真ん中で行ったアースデイのイ
ベントは、ほぼ有志で集まったボランティアの若者達によって運営され、佐藤
さんはその中心人物。どこで仕事をしているのだろうか?と不思議なほどイベ
ント運営に時間を割いていたように思います。
そして佐藤さんはアースデイ以外にもそうした社会的活動をしていくのですが、
都会でそういった環境に関する活動をすることに違和感を覚え、当時住んでい
た新栄の街中から緑豊かな犬山市善師野に引っ越し、農業は未経験だったもの
の犬山農芸を立ち上げるに至ります。
今年で犬山農芸は職業訓練実施施設として4回生目。耕作放棄地だった約2ヘ
クタールの土地を借り、無農薬・有機栽培の野菜やお米づくりを行っています。
毎年5月から11月の半年間、各回20人の訓練生が作物を育てること、百姓の里山
仕事を学び、メンバーにはそれぞれ自分の領域も与えられ、色々な実験をしな
がら言わば「サークルのような」楽しい時を共有しているそう。そして今年の
1月ついに4組の就農者を生みだしました。(就農した彼らは、犬山農芸の後、
新規就農の為の研修を2年受けています)
「なんかごめんね、成功した例もないし、食っていくのもギリギリだし話せる
ことなんてないと思うけど」と謙遜した態度で話しをする彼ですが、「今年就
農した彼らが今後も食べていけるなら、それが実績になるかもね」とのんびり
笑います。就農した4組は同じく犬山善師野界隈に農地を確保しており、それ
は耕作放棄地が増える一方の地域にとっては大きな希望の光のように感じます。
【「農」を仕事ではなく、暮らしの営みと捉え直す】
その他の卒業生たちはというと、農業一本で暮らすことは選択していないもの
の、それぞれ自分の仕事をしながら畑をやったりと「農ある暮らし」を実践し
ているといいます。
佐藤さん自身の例を見ても、犬山農芸で採れた作物を販売して収入源としてい
るわけではないので、他にも仕事をしています。
例えば障がい者の子どもたちのいる施設と連携を取って、子どもたちに農作業
を体験してもらう仕事。田畑仕事のない11月から2月までは造園の仕事を手伝
い、5月から10月の夜は木曽川で犬山の鵜飼いの船頭の仕事を。元々大工だっ
たこともあり、単発で太陽光パネルの設置などを請け負って生計を立てていま
す。しかし、それらは「稼ぎ」として考えているわけではなく、農作業も含め
て全てが生きる上で必要な「営み」だと考えています。
善師野に来て5年、今後もそういう暮らしをしていくのか尋ねると、「うん、
自分のできる小さい範囲でやっていくだろうね。農芸はある意味サークルのよ
うな、人が集まって楽しい場ではあるけど、やっていて農というのは家族単位
とか、もっと少人数でやる方がうまくいくと実感した。農芸は昔のお寺の檀家
さんの集まりだったり、集落のコミュニティーのような役割で、それはそれと
して人手がいる時に集まる存在でよくて、あとは各々で家庭でやったりしたら
いいと思う」と答えてくれました。
「農ある暮らし」は元々どの地域、どの家庭でも日々の暮らしと共に行われて
いたこと。だから誰にだってできる、大人数でやってみたことでその事に気
がついたのだそう。
昨今は「仕事」と「プライベート(暮らし)」を切り離して考えがちですが、
「農」は暮らしと直結した生きる上で必要な営みであり、だからこそ大地の上
に生きる人なら誰だってできる可能性を持っているのだと思います。毎日食べ
るものを育て、保存する術を学び、助け合いのコミュニティをつくり、暮らし
の基盤をつくる。便利な世の中になり忘れてしまったことを、佐藤さんはもう
一度実践しています。「ギリギリの生活」と彼は言うもののそれ自体を問題に
しておらず、「農ある暮らし」を通じて人として本来の豊かな営みを築いてい
る。そこには現在の農業の危機を解決する糸口があるように思えるのです。
(所員:浅井・高井)
フルハシEPO株式会社
http://www.fuluhashi.co.jp/
犬山農芸
http://inuyamanougei.dip.jp/
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