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2014年3月24日月曜日

3.「環境経営イノベーション論(2)」

「環境経営イノベーション論(2)」

■環境経営の目指すところ

環境経営が目指すところは、持続可能な社会を構築することである。今回はその目標設定(ビジョン)について考えてみたい。
例えば、2050年の「持続可能な社会」をさまざまな予測データをもとに想像する。その未来における「自社のあるべき姿」を定義し、そこから中長期的な目標設定を導く。これは「バックキャスティング※」といわれる手法である。一方、現状分析や現状課題から目標設定をすることをフォアキャスティングと言い、この手法は短期的な成功を導くために有効である。どちらか一方の手法に偏らず、両方を上手に使い分けることで長期的にも短期的にも環境経営を成功させることが可能になる。

※バックキャスティング:スウェーデンの環境NGO「ナチュラルステップ」が
提唱した考え方
http://www.thenaturalstep.org/ja/japan/backcasting-japan)。

■バックキャスティング事例

では、バックキャスティング手法の具体的な事例を挙げて見てみよう。
リコーグループは、2050年に排出する環境負荷の総量を2000年比1/8にするために、中・長期行動目標・計画が策定されている。その数値を決めた根拠は、「地球全体にわたる大規模な被害を避けるためには先進国が2050年に環境負荷を2000年比の1/8以下にする必要がある」と想定されている。

■環境経営は、トップダウンとボトムアップの連動が大事

一見すると、バックキャスティング手法から導く目標は、現実離れした大きな目標に見えることが少なくない。だからこそ、このような目標設定にはトップリーダー(経営者)の関与が欠かせない。トップリーダー自らが従業員にしつこく語り、号令を出していただきたい。従業員全員が同じ方針に沿って行動することで、大きな成果が得られるはずだ。

担当部署としてはこの号令を出してもらうようにトップに働きかけることが重要な任務となる。普遍的な理念や高い目標をトップリーダーが打ち出し、それを言い続けることで従業員の活動(ボトムアップ)とそれに伴う成果を引き出すことができる。

トップリーダーによるコミットメントは環境経営をイノベーションするための重要な条件である。そして、まさにそれが今、企業の生物多様性の取組みで起こっているのではないだろうか。次回、その具体的事例を紹介したい。

※参考文献:
「環境経営イノベーションの理論と実践(植田和弘・國部克彦/中央経済社)」


株式会社フルハシ環境総合研究所
http://www.fuluhashi.jp/

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