■環境汚染とその費用負担 環境汚染とその費用負担について考えてみたい。 企業の環境汚染は法規制により厳しく管理され、公害問題はほとんど発生しな くなった。その中で、日本史上最悪の公害問題が現在進行形で進んでいるのは 東京電力福島第一原子力発電所から発生している放射能汚染だ。今回取り上げ たいのは、環境汚染とその費用負担についてである。 ■外部不経済の内部化 企業活動の中で環境対策の費用は当然、内部化されている。例えば、排水は、 水質基準を管理し、規制以下にして排出する。ところが、汚染物質はゼロでは ない。排水量が、基準以下でも大量に排水すれば、当然ながら汚染物質量も増 える。排水を放流した河川から上水が取水されている場合、飲料水レベルまで 水質を浄化するコストは誰が負担をしているのか?そこには税金が使われてい るのだ。 ■放射能汚染の外部不経済は、誰が負担するのか メディアでも繰り返し報道されているように、原発は廃棄物の処理方法も費用 もまったく目処が立っていない上に、放射能汚染の対策費用や被害者に対する 補償費、その他これまで電力コストとして計上されていなかったコストを加味 すると、コストの高い電力であることは明らかだ。「原発のコスト(大島堅一 /岩波新書)」によると政府の補助金支出等も加味した原発のコストは10.68 円/kWで政府が引用する発電単価(5.3円/kW)の倍以上という試算がされて いる。大事なのは、原発の電力が見た目上、安く見えるのは、実際にかかって いる費用の多くが外部不経済となっているためだ。これを内部化したときに、 本当に安い電源と言えるのだろうか。 ■環境汚染・環境負荷の内部化 環境汚染・環境負荷を外部不経済のまま放置すると、公害が発生しやすくなる。 過去には、川崎・四日市・尼崎喘息や水俣病等があり、現在では、放射能汚染 が私たち自身に牙を向いている。もう一度、環境汚染・環境負荷の内部化を制 度設計の中に組み込むことを真剣に考えなければならない。
株式会社フルハシ環境総合研究所
http://www.fuluhashi.jp/
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