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株式会社フルハシ環境総合研究所による環境問題、環境経営に関する提言・オピニオン発信を目的としたサイトです。

2015年6月15日月曜日

47.生物多様性を受け継ぐために(2)

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 2015
529日発行 株式会社フルハシ環境総合研究所
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   GMM [Green Mail Magazine] No.261

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【本日の特集】
 生物多様性を受け継ぐために(2)
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【企業による生物多様性の取り組み】

近年は生物多様性の評価ツールの開発が進み、プーマやサンデンなどが、サプ
ライチェーン全体での生物多様性(自然資本)への影響を定量的に評価し始め
ている。サンデンの水使用量は73万m3だが、サプライチェーン上流ではその
22倍に当たる1,600万m3の水が使用されており、またその約3割が水不足の進む
中国の水であることが判明した。サンデンは、中国での水への課税などの規制
を調査するなどの対策を進めている(※1)。また、こうした動きと連動して、
金融分野でも2014年に三井住友信託銀行が自然資本格付け融資を開始している。

企業にとって定量評価はまだまだ敷居が高いが、緑地を持つ企業であれば、緑
地評価ツール(※2)などを使って評価し、周囲の生態系ネットワークとつな
いでいくことから始めてはいかがだろうか。緑地を持たない企業であれば、自
社の製品やサービスが生態系にどのような影響を及ぼしているかを考えること
から始めることが可能である。
地球温暖化が二酸化炭素排出量などの比較的シンプルな指標により管理できる
のに対して、生物多様性は複雑に要因が絡み合い、現状の把握すら困難である。
しかも取り組みの効果を把握するとなれば、壮大な時間を費やさねばならない
だろう。

【いま、本当に必要な取り組みは何か】

自然豊かな幼少時代とはうってかわり、いま私は名古屋市内の高速道路を見下
ろすマンションに暮らしていて、自然観察会などでしか自然にふれることがで
きない。観察会に参加する子どもたちは、小川を見て海だと言い、稲が刈り取
られた田んぼを見てそれが田んぼだと気づかず、触れられるいきものは犬とダ
ンゴムシ(丸まっているものに限る)くらいである。(もちろん蝶の標本づく
りに熱中している子もいるが。)
この子どもたちがいずれ大人になり、生物多様性の危機と聞いたときに果たし
てピンとくるものがあるだろうか。身近に迫ったものではなく、どこか他国の
できごとのような、そんな感覚で捉えてしまうことを私は懸念している。

100年先、200年先も生物多様性の取り組みを続けるために、指標を作り管理す
ることの重要性は言うまでもないが、「教育」も同じく必要なのではないかと
思う。自然の移ろいを肌で感じ、いきものの息遣いが聞こえるような体験を経
て子どもたちが成長し、やがて大人になったときに、生物多様性の危機を切迫
して感じ、次世代に伝えていけるようになってほしい。そんな教育(体験の場)
のあり方を、私は日々模索している。(所員:城山)

(※1)日経エコロジー(2013年9月)
(※2)景観生態学19(1) 69-82. 2014


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【発行】株式会社フルハシ環境総合研究所 

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