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株式会社フルハシ環境総合研究所による環境問題、環境経営に関する提言・オピニオン発信を目的としたサイトです。

2015年6月30日火曜日

49.「給食がおいしい」が自慢の地域づくり(2)

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 2015
612日発行 株式会社フルハシ環境総合研究所
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   GMM [Green Mail Magazine] No.263

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【本日の特集】
 「給食がおいしい」が自慢の地域づくり(2)
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私が小学生の頃、給食係は白いエプロンをつけ、給食室から大きな鍋を二人が
かりで教室まで運んだ。おなかはぺこぺこで重たい鍋から立ち上るシチューや
味噌汁の匂いが鼻をくすぐった。同じ頃の記憶で、母が祖母の作った無農薬野
菜はさっと洗うだけで皮ごと料理するが、スーパーで購入した虫食いのない野
菜はしっかり洗って料理していたことも思い出す。「おいしい」と「安全」そ
の両方を兼ね備えた子どもたちのお昼ごはんはどんなものだろうか?今回はそ
の一例として愛媛県今治市の取り組みについて紹介する。

今治市では、子どもたちが箸と椀を手にすると先生や栄養士から献立に使われ
た有機野菜の産地や郷土料理についての説明がある。学校給食はおいしいと評
判で、食べ残す子どもはほとんどいない。また、食育の効果もあり、本市の給
食を食べて育った人はそうでない人に比べ、産地や生産者を確認し食品添加物
に注意する傾向が高く、特に地元産を購入する意欲は2倍も高い。(※1)

現在、給食に使われるお米は全量、市内産の特別栽培農作物(農薬・化学肥料
当地比50%以上削減)、特に一部の地区では旬の野菜を中心に、鶏肉、鶏卵な
どもポストハーベストフリーの遺伝子組み換えでない自家配合飼料を用いた鶏
が使われており、完全な有機野菜の導入は約60%に至っている。(※2)

もともと「子や孫に自分たちの作った安全で新鮮な農産物を食べさせたい」と
いう地元の声がきっかけで始まったこの取り組みは、「今治市食と農のまちづ
くり条例」における「市は、学校給食での今治産の有機農産物等の安全な食材
の使用割合を高めること、また、遺伝子組み換え作物及びその加工食品を使用
しないこと」という宣言を基盤に市場にも影響を与えている。

給食で優先的に有機食品を購入すると八百屋などの市場でも有機食品が仕入れ
られるようになり、子どもたちが学校農園でJAS有機認証の農業を行うと大人
の農業者が影響を受ける。今では地元スーパーはもちろん、巨大資本の全国
スーパーでも「地産地消」「有機」を優先的に店頭に並べており、学校給食が
地域経済に貢献していることがうかがえる。

最後に、上記のように地域で農薬を減らす試みがある一方で、厚生労働省は5月
19日、ネオニコチノイド系農薬「クロチアニジン」「アセタミプリド」の食品
中での残留基準の大幅な緩和を行ったことを、官報で告示した。(※3)
私の祖母は農業を営んでおり、農家の苦労もわかるので農薬絶対反対!とは思
わない。しかし、虫食いひとつない野菜を買いたいとも思わない。ただ国の規
制緩和より、今治市で声を上げた方々の気持ちの方に共感するだけである。
さて、子どもたちのお昼ごはんに使う食材に必要な農薬の種類と量は、だれが
考えるべき問題か?

※1 内閣府 地域活性化総合情報センター SAISEIニュース
http://www.chiiki-info.go.jp/local/saisei/detail/091202_1.html
※2 第5回丸亀市学校給食業務等民間活力検討委員会 資料編
http://www.city.marugame.kagawa.jp/pdf/kaigikaisai/15_shiryou.pdf
※3 国立印刷局 官報 号外110号

https://kanpou.npb.go.jp/20150519/20150519g00110/20150519g001100001f.html


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【発行】株式会社フルハシ環境総合研究所 

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